ようやく今年収穫したお米を炊くことができた。
昨年の秋ぐらいから無償にお米が食べたくなるという衝動が始まり、
ずっと休んでいたた米作りを再開した今春。
種もみからやってもよかったけれど、余り苗を頂いて育てることにした。
頂戴したのは、お米専門農家である友人から。
「農林一号」という、コシヒカリの直系の父親にあたる品種。
このお米実際にご飯にしてみて、とてもさっぱりした感じがよかったのでこの苗がもらえるとわかった時は感動。
田んぼは、自然農の会がやっている場所を借りて。
畔塗や水入れは共同作業だけれど、米作りは各自区画を借りて個人作業。
なのでいろんな品種が植えられていて、育ちの違いが見れておもしろかったりする。
初夏の怒涛の草むしりを終え
秋口からの刈りとり→はざ掛け→トウミ処理→籾摺り、、
で、ようやく家のキッチンに着地。
いつもどおり鍋で炊いて、
先日手に入れた「お櫃」にうつす。
田んぼが色づき始めたころに、
うつわ問屋の日野さんに相談を始め、
まさにお米の籾摺りと同時に我が家にやってきた「お櫃」
長崎は五島列島福江島で若き桶職人が作るお櫃。
これまでは、炊き立てご飯は、使い古しの曲げわっぱのお弁当箱2つに分け入れてお櫃代わりにしていた。
ぎゅー詰めしていたので、お櫃がほしいなとは思っていたのだが、いいなと思うものがなかなか見つからずなかった
今回日野さんに相談しても、なかなか決められなかったのが、
日野さんの、もうこれで言うのはさいごよ!といわんばかりのメールに心動いた。
::::
「おひつのお米を美味しくする秘訣は板の厚みと、仕上げです。
紙やすりで仕上げている人と、
カンナで仕上げている人では全然違う。
厚くて、カンナでしあげているものが絶対に美味しいです。
おひつ5個使い比べた私の感想です。」
::::
と。
いままでの迷いはなんだったのかと思うほど、そのあとの流れはあっさりすすむ。
実際に到着したお櫃は、端正で、ほおづりをしたくなるほど滑らかなテクスチャーで、カンナだからなせる業だという。
使われている材も、奈良の吉野の杉だという、たとえ端材であったとしても貴重なもの。
そんな中、
お櫃を上から見た円の面取りに、
人の手の仕事なのだと感じさせる、
ちょっとした揺らぎ感といびつさが見られ、
それがなんだかホッとさせてくれる。
炊き立てのご飯をそっと入れると、蒸気がスギに吸い込まれていくのがかんじられた。
そして、
このまま2,3日寝かせたまま、そのおいしさをキープしたままでいてくれるのが使ううちに徐々にわかってきた。
冷や飯が大好きな私には、願ってもないお櫃。
そして、日野さんがおっしゃってた、カンナ削り、、。
おそらく、紙やすりだと、木の目をつぶしてしまって、木の持つ吸湿力が弱まるんだろうなあと気づいた。
お米を計って、山の水で研いで、8時間ほど寝かし、弱火でじっくり40分ほど炊いて30分ほど蒸らす。
そして、このお櫃へ。
このすべての工程がいとおしく、ほんとうに尊く感じられる。
そして、
この工程をさらにもりあげてくれる、米びつ、ボウル、なべ、お櫃、しゃもじにもほんと感謝でいっぱい。
今年は、お米を育てたというよりも、
お米に自分を育ててもらった感じがする
自然の力に感謝。